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マリー・ノースモア - 笑顔というギフトを贈って

バリにあるスマイル財団は、インドネシアにいる顔面障害を持っている子供たちを笑顔にしようという任務に取り組んでいます。

2005年に設立されて以降、バリにあるスマイル財団、もしくはインドネシアのバハサにいるヤヤサン・センユムさんは、生まれつき頭蓋顔面の障害を持っている子供達に対し、無償で顔面手術を施してきました。顔面障害といっても多種類あり、口唇口蓋裂やゴールデンハー症候群、アペール症候群、そして顔面腫瘍等が存在します。財団の創業者であるマリー・ノースモアさんは、そういった子供達の人生を変えようと、顔面手術だけではなく愛とケアをもって任務に取り組んできました。

 

以下はHUMAN ASIAとマリーさんとのインタビューです。

―スマイル財団の始まりを教えてください。

マリー: 2005年に、口唇口蓋裂やその他の顔面障害を持っている人々のための財団を設立してほしいとオーストリア人のお医者様から声が掛かりました。その時は顔面障害についてあまり理解していなかったのですが、お声掛けしてくれたお医者様を信頼していましたし、亡くなった夫についての本も書き終わっていたので、新たなチャレンジに心の準備は出来ていました。それで、数人の良き友人の助けを得ながら、バリのスマイル財団を設立しました。

最初は資金も無くお願いをしてばかりでしたが、徐々に現在も応援してくれている寄贈者が増えていきました。そして財団が寄贈者や友人の助けと共に設立し、良い評判が出てくると、後はそこまで厳しくはなかったです。

 

―財団がケアしている子供達と、その子達の背後事情を教えてください。

マリー: 患者の子供たちはインドネシア東部のいたるところから来ています、私たちが見つけられる限りであればどこでもです。私たちに協力してくれている福祉ワーカーやパートナーとなっている財団が地方の患者と調整をし、患者と家族内から一人をエスコートとしてバリに治療のために送ってくれるのです。バリに来た患者は、お医者さんが手術後に家に帰って良いと許可を出すまでの期間、お部屋、ご飯が与えられ、私たちのチームやスタッフによるケアを受けます。私達財団のスマイルハウスには、全部で11部屋があり、私たちのオフィスと台所も一つついています。

 

―顔面障害を持っていると、どのような困難に面するのでしょうか?

マリー: 顔は一番先に人の目がいく場所なので、顔面障害を持っていると、持っている人自身にも、そして見る人にもトラウマになってしまうのです。 見た目だけの問題ではなく、健康面でも害が出てきます。例えば、口唇口蓋裂を持っている赤ちゃんはちゃんと乳を吸えないので、その子の母親にとっても授乳がとても難しくなります。そうするとミルクは鼻から出てきてしまうので、栄養失調になってしまったり、違う管を通って体に入り、肺に問題が出てきてしまうのです。 大人の顔面障害でも、噛めない等の問題で食べられなかったりして、それも栄養失調につながってしまうんどえす。

そのため、私たちの所に来るほとんどの患者に、手術を受ける前に健康あることを確実にするために、きちんと食事をとらせています。

また、年に2回開催するクリニックに、重度の顔面障害を持っている人を招待しています。 そこで、地元とオーストラリアからの専門家が、患者それぞれのケアプランを決めていくのです。そして顔面手術が必要だと診断された患者は、エスコート1人と共にオーストラリアのアデレードにあるCranioFacial Instituteに呼ばれる事もあります。このプログラムでは、1年に10人までの無償での治療をオファーしていますので、もしオーストラリアで治療を受ける必要がある患者がいる場合は、3か月に及ぶ滞在を含めた旅行費用をプログラムが負担するのです。 この寛大なプログラムは、南オーストリアの政府によってスポンサーされています。

Mary Northmore Smile Foundation5

スマイル財団は、手術を受けた後の子供達も長期的にサポートしているのですか?

Mary: 顔面障害を持って生まれてきた子たちは、手術後でも、頭部は成長と共に変化していくため、私たちがサポートしているタイプのケアは長期間に及ぶアプローチが必要となっています。 特定の手術、例えば歯科矯正治療の場合は、完治するまでに何年もかかります。 そのため、今まで治療してきた患者の記録を保持し、必要に応じて受診をしに来てもらっています。

また、患者には言語療法も提供しています。これは特に、口唇口蓋裂を持って生まれ、口蓋が開いたまま話すことを学んだ患者には、手術後にさらにはっきり話せるようになるために大事な療法です。

また、人里離れた村で生活する人々の中では特に衛生面で問題が有るので、そのような村から来る患者に正しい歯の磨き方を教えたり、健康的な食事の作り方等を教えるためには良い機会だと思っています。その他にも、スタッフ一同は、手仕事や英語、そしてパソコンを教えたりもしています。

 

―スマイル財団が直面している中で、現在一番困難なチャレンジと、近い将来あり得るチャレンジは何ですか?

Mary: 私たちは社会福祉財団で、スタッフが医療の教育を受けているわけではないので、患者に最善の治療ができているか心配しています。ですが、スタッフの能力を最大に出来るよういつも教育しています。

また、治療が必要な患者を探し出せているかも心配しています。人里離れている村に暮らしている場合は、財団の存在さえ知らない可能性もありますので、遠くまで探しに行く必要があります。 その場合のために、地方に住んでいる人を雇い、患者と患者の家族とどう交流し、財団がどうやって助けてくれるかを教えてあげれるよう教育しています。

私自身、我々財団に発見される前に亡くなってしまう患者がいるのは十分承知していますので、常に基金を探し、これだけの容量の仕事を扱えるようにマネージメントを増やす努力をしています。

また、私達の任務で大事な事は、持続可能性に焦点を当てる事です。その為には、外国からの医者に頼るよりも、地元の保健団体を支援する方が何倍も好ましいので、地元の外科医や脳神経外科医がオーストラリアのアデレードにあるCranioFacial Instituteに行けるよう支援もしてきました。

 

私たちが財団にどう貢献できるか教えて頂けますか?

Mary: 一番財団が必要としているのは基金です。基金があればあるほど、多くの人を助ける事ができます。 統計によると、600人に1人の子供が口唇口蓋裂を持って生まれてきています。それをインドネシアの人口を使って推定すると、毎年何百人もの子が口唇口蓋裂を持って生まれてきているのです。その何百人の子供一人一人が助けを必要としているのです!

 

マリー・ノースモアさん自身について、もっと知りたくなりました。

―マリー、あなたご自身の事をもう少し教えてください。

Mary: 私はイギリスで生まれました。父は政府に勤めていて、主婦の母はいつも良い人生を送るためには教育が鍵だと言っていました。私自身は司書として勤める機会を与えられたのですが、旅行がしたかったので、代わりに英語の教師になってイタリア、ギリシャ、香港にあるブリティッシュ・カウンシルで働きました。その時にバリで短期間バケーションで滞在したのですが、バリがとても好きになったのです。

1984年に、5年後の1989年に結婚することになる相手に出会ったのがきっかけで人生が大きく変わりました。彼の名はアブドゥル・アジズ、ローマで勉強した後バリのウブドに移住したインドネシアのアーティストです。女性のアーティストの作品は、展覧されるのも、売るのもとても大変なのを知って、1991年にセニワティというアジア初の女性アーティスト向けのギャラリーを開きました。ギャラリーは2012年に閉まったのだけど、今でも違う形で組織は続いています。 夫のアジズは2002年に亡くなり、その後の4年間は、彼の作品と人生についての本を書きました。

 

-ということは、マリーさんはインドネシアの国籍をもっているのですか?

Mary: アブドゥル・アジズと結婚した際にインドネシアの国民になったので、1989年以降、バリは私の母国となりました。 この素晴らしい国の発展に、何らかの形で貢献できてとても感謝しています。

 

―財団を設立してから、学んだ人生レッスンを教えて頂けますか?

Mary: 設立してから、私の親がいつも言ってた、教育は良い人生を送るために必要だって事が、全く正しいことだと学びました。世界中の母親は、自身の子供を愛していますが、非常に幸運な母親達のみ、問題を抱えた子供たちにまともな医療サービスを受けさせてあげられるのです。

どんな組織や団体でも、良さは、スタッフ、寄贈者、サポーター、パートナー、そして色々な面でサポートしている人々によって決まってくる事、そして、一人に頼るべきではない事も学びました。 我々皆、消耗品なのです。 なので、この財団も、“マリーのスマイル財団”ではなく、“私たちの財団”であり、必要とされる限り大きいコミュニティに属するのです。

 

何か違う方法でやればよかったなど、後悔はありますか?

Mary: もっと早くいろんな事を学んでおけば良かったと思います。財団を設立して以降、急な学習曲線だったのだけれど、もっと早く仕事が出来れば、もっと多くの人を助けることが出来ますよね。

 

財団やチャリティーを始めようと思っている人に向けて、アドバイスを頂けますか?

Mary: まず初めに、その国の文化と言語を学ぶ事。そして需要に合っていない、必要とされているものを見つけ、情熱を注ぐこと。それが出来れば、後はその国の政府の法律を学んで従い、自身のエゴを捨て、設立した組織は自分ではなく人々に属することを自覚すること。最後に、自分のベストを尽くして、失敗しても許してあげることが大事だと思います。

 

マリーさん、ありがとうございました。

Visit Yayasan Senyum (Smile Foundation) of Bali : http://www.senyumbali.org/

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